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それは、聞いたこともない福音だった。

いや、君が福音というものを本当は読んでいたが、読んでいなかっただけかもしれぬ。

それは、「もっと真剣に遊べ。楽しみなさい。」「愛しなさい。」と告げた。

それは、子どもを愛でる母親のように、君をやさしく抱きしめ、頭をなでて、胸に額をうずめさせてくれた。

泣きたいとき、叫べば、それはすぐに来てくれ、
君の言いたいことを言う前から理解してくれ、
瞬時に癒してくれた。

君は、しっかりとか立派とかいうものに、
何の負い目も感じないですんだ。

むしろ、君の魂は、
何もせず、ただ一方的に受け身で、その愛を受け、それに包まれて安心していることを感じて憩っていればよい。



君の、心は楽しみ

体も、それまで、皮膚や内臓や筋肉のあらゆるところにあった疾患が、消え失せたのだ。



この道が、正解なのだ、
と君は、満足のうちに納得した。



山を下り、
君は再びキャラバンのもとへ戻る。

聖霊を受けるために。

それは、観想的な祈りや、内的な祈りとは違った。
全身全霊をかけて、主の名を叫び、呼び求める。

はじめのうちは、驚き、戸惑ったものの、君は、すべてをかなぐり捨てるように真剣に叫び始める。

しかし、それでも何か「開かれない」ものがあった。

押さえつけているものがあったのだ。
吐き出してはいけない、
吐き出すのが恐ろしいものがあった。



もっとも、恐れていたこと?

いや、違う?
本当は望んでいたこと?

が訪れた。


そのキャラバンを去る、ギリギリの直前に、
民のリーダーの一人の若者が、テントのうちに君を呼び寄せた。

「真実の神を真剣に探し求めよ」
「そして、この民の一族に加われ」
と、力強い口調で語った。

君は、
その招きを「せっかくですが・・・」と断った。

理由はあった。
けれども、自分の中でも言葉にできないし、
ましてや、目の前にいる他者にそれは語れない。

刹那、彼は顔色を変え、
その理由を尋ねた。

君が、何かしゃべろうとするや否や、
彼はすべての君の語りを否定してきた。

「お前の信じている神は嘘だ!」
「お前の進もうとしている道は、どうでもいいことだ。」

「私たちの信じている神は生きている唯一の神だ。お前たちの信じているものに、そんな確信的な奇跡が存在するのか?」


途中から、君はもう、何か言うことをやめる。

一つの言葉じりをとらえては、あれこれと引きずりおろし、百も二百も言葉を並べ立てるのだ。


言葉は多いが、最終的な結論は、「わが民のうちに加われ」その一点。

君が、コートをしぶしぶ手放すまで、この北風には何を言おうとだめなのだ。

自分の信じているものをすべて否定された気分が悪くなり、君は、倒れこむ。





帰りの道と、寄留所で、

私のうちに、
失望を通り越して、絶望が襲った。

倒れこんで、もはや、一歩も立ち上がる気力も体力もなかった。


荒野をここまで歩き続けてきて、
ついに、信じていたものに裏切られた!!

クニにいたとき、
クニの宗教を信じていた時、

自らが最も忌み嫌っていたことが、「信教の自由の圧迫、そして、信仰の押し付け」だったのだ・・・!

もっとも、してほしくなかったことだった・・・!

それから、逃れ、本物の神を求めてきたのに。


今までの長い旅で、やっと手にしたものの答えが、これだったのか・・・。
ながいあゆみのうちに、培ってきたもののすべてが、そこで無に帰した。


すべての宗教には本物の神はいない。

いたとしても、その「本物の神」は、他の神を排除し、本物でないと信じるものを否定し排除する、実に戦闘的で不寛容なものなのだ。



その前まで、憩い、笑っていた楽しみが、一瞬にして奪い去られてしまった。
もはや、やっと手にしたものは、もう一度手にしたいと思っても、どうしても戻ってくるものではない。

完全に、神が私のうちから取り去られてしまった。

無性に、何も考えられなくなり、自殺したいと思った。



理性は、これをどうとらえて消化すればよいのかわからない。


人は、神を求め切望しながら、
一生そこにたどり着くことはできず、つねに引き離され、
疲れをまとうだけの人生を歩まねばならぬのだ・・・

ああ、いっそのこと、中途半端な希望などなければ、
思い切って死を選ぶことができたのに!

神がおり、
そして、生きているということは、罪だ。
怒りや、失望や、欲望を人は、捨て去ることはできない。
そのまま、人に裁かれ、自らは、人に迷惑をかけながら、償いきれない罪を犯すことをやめることもできずに、死んでいくしかないのだ。

いっそのことなら、早く、死んでしまいたい!!


神よ、哀れみたまえ
神よ、われを救いたまえ


と祈るのも、バカらしくなってきた。


したり顔で、善人ぶった信仰者どもが、
「それは違うわよ」「お前はとんでもない奴だね」
と、君の周りを取り囲んで、
神でもないのに、「神とはこのようなものだ」と言いながら、
君の心や魂の動きや祈りや考えを「指導してくる」。




激しい怒りが自分の中に湧き上がってきた。


まだ、理性だとか、道徳的な生き方とか、人を傷つけない生き方
なんてものにとどまるから、自分の命はいまだに真なる生を得ていない。


ついに、彼の中で、
吐き出すのを恐れていたことが吐き出された。


神に対して、
君は、
「コノヤロウ!バカヤロウ!クソッタレ!」と叫び、
机をたたき壊した。

天からの裁きが下ろうがなんだろうが、よかった。

その瞬間君はは、気が付いてつぶやいた。「クソッタレは俺自身だ・・・」

神が、そこでにやりと笑って言った。

「いいじゃないか。
それだよ。それ。
私はそれを待ってたんだ!」

痛快だった。








(続く)
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2014.11.06 Thu l 未分類 l COM(0) TB(0) l top ▲

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